母の日
今年、母の日に、手編みのショールを贈った。最近は食事したことも覚えていないので、渡す時、何度も同じ話をした。
「こんな風に肩にかけるよ。このショール」と私、
「いいねぇ」と母、
「これは誰のものだか知ってる?」
「知らない」
「これはママのだよ」
「へぇー」と言いケタケタ笑う母。
この会話を何ラウンドしたかな、、覚えてない。私は、肩に何度も翻しながらそのショールを身につけて母に見せた。最初は覚えて欲しくて意地になって何度か繰り返したのだが、止め時が分からず、だんだん可笑しくなって繰り返すのが楽しくなってしまった。
ハマるきっかけ
母が入所してから、私は編み物にはまった。飽きっぽいのに今でも編み物熱は冷めていない。もともと冬が来ると編み物をすることが昔からよくあり、用具も結構揃っているのだが、大体ひとシーズンすぎると熱は冷め、これまでの作りかけの作品が山のように積み上がっている。でも、最近の私の編み物熱はどうやら本気のもののような気がする。
靴下作りはちょうどいい
今の編み物熱は、入所した母に贈りたいという思いから、毎日使えるのではないかと靴下を作ることから始まった。靴下は構造が難しそうという思い込みでこれまで手をつけずにいた。作り出すと、奥が深いことを知り、どんどんのめり込んでいった。踵の作り方は幾通りもあるみたいだし、つま先から編み始めたり、履き口から始めたり、作り方がいろいろある。しかもデザイン豊富。今は、動画サイトでたくさんの方が作り方をあげていて、わからなくて困るということがない。
でも最初に贈った靴下は、お世辞でも素敵とは言い難いもので、その後洗い替えできるように修行のように立て続けに何足も贈った。Instagramでソックス修行とハッシュタグをつけて、カウントし続けているが、なんと現在49足まできた。靴下は比較的すぐできるし、たくさんあっても困らないし、多少大胆なデザインになっても身につけられるし、編んでいて作業が単調ではないので、作るのにちょうどいいアイテムだと思う。

編みつづける
これまでに母に編んだのは、靴下、チョッキ、ショール、それから巾着袋。母は編んでもらったことなどほとんど認識してない。これはもはや私の自己満足。でも、やはり作ったものを身につけてもらいたい、使ってもらいたい、今の母の暮らしの何かの役に立ちたい。
だから編み続ける。


