いつものように母のところに行く。最近はおしりふきのティッシュの減りが遅いから、どんどんティッシュの在庫がたまっている。しばらく定期購入をスキップしたほうがいいかもしれないなぁ。いつもこんなふうに母の部屋の物の在庫をチェックして、おむつ、パッド、敷シーツ、おしりふき、ビニール袋、グローブなどなど用度品を確認する。
それから一緒に録画していた皇室のテレビを見る。これが大概の日課なんだが、今日はちょっといつもと違った。施設に到着したときにロビーが少しざわついていて入居者の方が何人か集まってきていた。見るとスクリーンを立ててプロジェクターを準備し、なんだか古い映画を上映する準備をしていた。確か先週お知らせが貼ってあったなぁと思い出した。オードリー・ヘプバーンの映画を上映会すると言う案内だったような気がする。よくよく見てみると、今日の上映会の映画のタイトルは「麗しのサブリナ」だった。
母の部屋に入って、今日の上映会の話をするといつになくむくっと起き上がって、こんな機会はないから見たいと言った。自分から行きたい、起き上がっていきたいって言うのはめったにないことなので、私も少しびっくりしたが、対応することにした。私は介護のスキルを持っていないから、いつもベッドから車椅子に移すときのコツをわからず、何とか母を車椅子に乗っけた。本人は途中で私が四苦八苦しているのを見て、遠慮して、「もういいや、やめる」って言うのだが、そんなことは絶対させない。私は、絶対見に行くよと強引に母を椅子に乗っけた。上映の会場まで行くとスタッフの方も少し驚いた様子だった。おそらく、母が参加するとは思ってなかったのだと思う。「麗しのサブリナ」は調べてみると、上映時間が90分はある。そんなに座ってじっとしていられるのかちょっと心配だったので、最初は5分おき位に様子を見に行ったのだが、母は私の存在など全く気にせず、じっとただただスクリーンに目を放っていた。

母はスクリーンにくぎづけ状態。
若い頃おそらく好きで観ていたのだと思う。昔よく自分たちがよく見た映画の話はしていたなぁと、思い出した。オードリー・ヘプバーンは母の好きな女優の1人だったと思う。あとは「風と共に去りぬ」が好きだった。そんなことを思い出しながら母の様子をうかがう。結局最後まで一睡たりとも寝ずに、ずっと映画を見て終わった。ここ最近にしてはとても珍しい光景だった。
部屋に帰ってきて母に面白かった?と聞くと、これまた覚えてない様子。認知の衰えはここ1年で顕著になってきているので、これは仕方がないと思うのだが、さすがに終わった直後であまり覚えてなさそうなのを見てびっくりした。でも、映像を見ていたあの瞬間のあの表情を見ると、楽しんでいたんだと思う。それを見られてよかった。久しぶりに母のああいう表情を見ることができたからだ。次回も似たような上映会があったら、積極的に連れて行ってあげたいなぁと思う。

