「売却する」意思確認のため、母の住む施設に司法書士さんらが面会に来た。
母の狭い部屋には必要最低限の物しかない。つまり、来客用の椅子なんてないのだ。大急ぎで、折りたたみの椅子を2脚買い、来客を迎える準備をした。
面会のポイントは、母が受け応えが適切にできるか、大事な情報を言うことができるかだ。いろいろと判断されるようだ。来訪前に、2,3回、私が母と話をする時に、名前・生年月日など質問して答える練習をしてみた。調子の良い時とダメな時がある。
いよいよ来訪当日。司法書士さんは優しそうな女性の方だった。前日に答えられたから、大丈夫かな?と思っていたのだが、、、生年月日を聞かれ、全然関連のない年月で答え始めた。何回か同じ質問をされたのだが、答えはさまざまで、なかなか正解には辿りつかず。かろうじて、「家を売るということで間違いないですか」についてのみ、元気よく「はい」と答えた。が、家の住所も言うことは難しかった。結果、後見人を立てた方がいいというご判断をいただいた。しょうがないよね、そりゃそうだ。
面会が終了して、司法書士さんら見送った後、施設のスタッフの方にその日の出来事を話した。同じような状況は、よくあるとのこと。みなさん、同じようなご苦労をされているのだなあ。
母の部屋に戻り、試しに、もう一度生年月日を母に尋ねると、ちゃんと言えたのだ。やだ、母ったらいつもと違う状況で相当緊張していたのかしら、、、負担かけてしまったかな。きっと、テストを受けたような状況になった母は、うまくできなかったことは分かっていたようなので、落ち込んでいるのではないかなぁと、ちょっと反省した。
翌週、どんな様子かなと心配しながら訪問したのだが、なんと、面会のことなどすっかり忘れているようだ。なんせ、サッカーなど今まで見ようともしなかった人が、ワールドカップでイギリスが勝ち進んでいることになぜか興奮しているのだから。
よかった、ホッとした。


